会場までは、ここから歩いて5分程度。
できるだけ4人で固まって移動しようとするが、人波に流されて、はぐれそうになる。
思わず、矢嶋が羽織っているシャツを掴んだ。
矢嶋は、チラッと振り返り「大丈夫?」と声をかけてきた。
コクコク、と菜々が頷くと、矢嶋は「はぐれないでね」と言って前を向いて進んでいく。
――リードしてくれるの、いいな。
菜々は、矢嶋の後ろ姿を眺めながらそう思った。
出店で焼きそばや唐揚げを買って4人でシェアして食べることにした。
「堀越先輩、紅しょうが食べれるようになりました?」
美桜が焼きそばを取り分けながら聞く。
「いや、相変わらず嫌いだから乗せないで。」
「夏樹、昔っから紅しょうが苦手だよなー。あと、カレーの福神漬けな。」
「え!?福神漬けもまだ食べれないの?」
「別にいいだろー?メインの方は食べれるんだからさ。」
「カレー無しの福神漬けとか、美味しさ半分無駄にしてるよなー。」
「んなこと言うなよー。」
紅しょうが抜きの焼きそばを美桜から受け取りながら、夏樹が文句を言う。
菜々は、3人の会話を聞いてクスクスと笑いながら楽しんだ。



