改札を通り、ホームで電車を待つ間、4人で話をした。
最寄り駅ではないのに、ホームは多くの人で溢れ返っていた。
「今年も人が多いなあ、花火大会。」
そう言った夏樹に、美桜が尋ねる。
「去年も行ったの?」
「うん、クラスのメンバーの何人かと。」
「何人かの女子は夏樹目当てだったんだよ。それがさ、夏樹のやつ、女子の絡みが面倒になって途中で姿くらましてそのまま帰ってたんだよ。」
「え、そうなんですか?」
美桜が驚いてそう言うと、夏樹がかったるそうに「まぁ、あれだな。暑かったからな。」と言って誤魔化そうとした。
「あの後、大変だったんだぞ。『夏樹君、どこー?』って、ぞろぞろと女子達が捜索しはじめてさ。」
「そんなこと言って、ひろも川上に狙われてただろ?」
「あー、あれな。うーん…」
思い出したくなさそうな雰囲気で矢嶋が言葉を濁す。
「矢嶋先輩も、モテるんですねぇ。」
ニヤニヤしながら、美桜が矢嶋を見た。



