――なんか、気まずい?


そう思った矢先、矢嶋が口を開いた。


「…ごめん、なんか上手く喋れなくて。」


矢嶋が菜々をチラッと見て言った。


「いえ、なんか私も…すみません。」


矢嶋の私服は新鮮で、菜々自身、いつもと違う雰囲気に飲まれている気がした。心臓がドキドキと脈打つ。


沈黙が続き、気まずさから、なんだか泣きそうになってきた、その時。


「その…」


矢嶋が、言いにくそうにしながら菜々を見た。
菜々も矢嶋を見ると、矢嶋の顔が真っ赤に染まった。


――え!?


菜々が驚くと、矢嶋が慌てて片手で口元を覆って目を逸らした。


「ごめ…。ちょっと、あまりにも橋本ちゃんが綺麗だったから…その…真っ直ぐ見れなくて。」


矢嶋のその言葉に、菜々も顔が熱くなるのを感じた。


「…綺麗だよ。いつもは可愛いけど、今日は綺麗。」


「あ、ありがとうございます…。」


あまりに褒められるので、菜々は恥ずかし過ぎて俯いてしまった。