準備が整った菜々と美桜は、2人並んで駅へ向かう。
カラカラと鳴る下駄の音が、花火大会への気分を上げてくれている。
「去年は、美桜ちゃんと一緒に行ったよね!花火大会。」
「そうだね。まさか今年は彼氏…と行くことになるなんて思わなかったよ。」
えへへ、と照れたように笑う美桜の顔は少し赤かった。
「あ、電話だ。ちょっとごめんね」
そう言うと、手に提げていた巾着袋からスマホを取り出し、電話に出た。
「もしもし?…うん、さっき家出たとこで駅に向かってるよ。…うん。あ、そうなの?わかった~。じゃあまたあとでね。」
そう言って、美桜はスマホの通話ボタンを切った。
「堀越先輩?」
「うん!あっちに着いたら人が多くて会うの大変そうだから、こっちの駅で合流してから行こうって。もう着いてるみたい。」
そう言うと、美桜は駅の方を見た。
「あ、いるいる!」
そう言って、美桜は横断歩道の向こう側にいる男性2人に向かって手を挙げた。
相手も振り返す。
夏樹は、ハーフパンツにTシャツを着て、サンダルを履いている。
矢嶋は、同じような格好に、上からシャツを羽織っていた。



