「矢嶋先輩は、優しいし、いい先輩だなって思う。」


「そうなんだ。先輩のことは…好き?」


「いやいや、そんな…。私なんかが好きとか…」


「もー、ななちん!いつも私なんか、なんて言っちゃって!ななちんは女の子らしくて、頭良くて、いい女なんだよ!もっと自信持ってよ。ホラ!」


そう言うと、美桜は菜々の顔に鏡を近づけた。


髪がきれいに結われて、赤い牡丹の髪飾りが黒髪に映えている。


「ほら、こんなに可愛いくしたんだから!自信持ってね。」


美桜が鏡越しににっこり笑ったのを見て、菜々も微笑んだ。


「…ありがとう。美桜ちゃん。」