「う、うん…誘えないかなぁ…。」


相良の、言いふらさないでくださいよ?という言葉を思い出し、菜々は言葉を濁した。


そしてふと、御礼を言ってなかったことを思い出して菜々は美桜を見た。


「花火大会、堀越先輩が誘ってくれたんだよね?せっかく2人きりになれるはずだったのに、ごめんね美桜ちゃん。」


「あれ?私は、矢嶋先輩から誘われたって聞いたけど?」


「え?」


――あれ、矢嶋先輩、堀越先輩に誘われたって言ってたような…。でも確かに、美桜ちゃんからじゃなくて、矢嶋先輩から誘ってもらう方が不自然なんじゃ…?


菜々が考え込んでいると、美桜は「あ!」と言って、慌てて取り繕うようにして言った。


「あ~、ご、ごめん!そうだったそうだった。夏樹君から誘ったんだった。うん。」