「え?菜々の好きな人って、矢嶋先輩じゃないの!?だってプールも2人で一緒に回ったんでしょ?」


「うーん、そうだけど…」


「えーホントに違うのー?だって部活の時さぁ、2人して手振り合ってるじゃん。グラウンドで走ってる時に、私、何回か見ちゃったんだよねー。」


にししっと笑いながらそう言う里帆を見て、芽唯が「わぁ、それいいー!」と言って悶ている。


「うーん、確かに、先輩は優しいけど…。好きかと言われるとよく分からなくて…。」


「でもさ、少なくとも、矢嶋先輩はななちんのこと、いいと思ってるんじゃない?付き合ったら、大切にしてくれそうだけどなー、矢嶋先輩。」


美桜がそう言って菜々の顔を覗き込む。
すると、今度は芽唯が菜々を見ながらニヤニヤして言った。


「ま、ほら菜々には相良君がいるしね。最近、菜々によく話しかけてくれてるでしょ?相良君と一緒に行かなくてよかったの?」


芽唯のその言葉を聞いて、昨日の出来事を思い出した。


胸がキュッと締め付けられる。