聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



――か、可愛い!?


急に褒められて、菜々は一人でアワアワした。


何と返信しようかと悩んだ末、『ありがとうございます』とだけ返した。


しばらくして、またメッセージが届いた。


『話変わるけど、今度の美奈川花火大会、一緒にいかない?夏樹からちょうど誘われてて、橋本ちゃんもどうかなって言ってて。工藤ちゃんも行くらしいから。』


――花火大会かぁ。


美奈川花火大会は、このあたりでは割と規模の大きい花火大会だ。


毎年、屋台がズラリと並び、打ち上げ数も多い。



『はい!是非行きたいです。』



『よかった。じゃあ詳細はまた連絡するね』



『わかりました!楽しみにしてます。』



『俺も楽しみ。じゃあまたね。おやすみ』



『おやすみなさい』


お互い「おやすみなさい」スタンプを送り、メッセージをしめくくった。


――矢嶋先輩と花火大会かぁ。


菜々はスマホで「浴衣 ヘアアレンジ」と検索して、その日の夜を過ごした。