8月になった。


インターハイの結果は、準決勝敗退。


残念な結果ではあったが、菜々達のサッカー部はベスト8に名を連ねた。


キャプテンは、2年の望月に交代となり、新体制で新たなスタートを切ったある日。


練習後の片付けを終えた菜々は、最後に部室の掃除をしようと、部室のある建屋に向かっていた。


サッカー部の部室が近づいた、その時。


「橋本ちゃんってさー…」


――え!?私?


部室の中から聞こえてきた話の中に、自分の名前が出てきた。


菜々は思わずドアの前で立ち止まる。


「あんまりしゃべんないけどさ、笑った顔とかいいよな。」


「俺も思う!かわいいよなー。」


「彼氏いんのかな?な、相良?」


「なんで俺に聞くんすか。」


――え、相良君もいるの?


急に心拍数が上がってきた。


――相良君、私のことどう思ってくれてるんだろ。


部室内では、話がどんどん進んでいく。