目的地である川に到着し、部員達は順番にバスを降り始めた。
「神崎先輩、着きましたよ。」
菜々が神崎の肩を軽く叩いて起こそうとしたが、さっきまでウトウトしていた神崎は、今やぐっすりと眠りについていて、起きる気配がない。
「橋本ちゃん、俺が見とくから先に降りなよ。」
頭上から声がしたので見上げると、後ろの席に星原が立っていた。
「えっと…」
いいのだろうか。
そう思って、一瞬何と返そうか悩んだが、星原が「神崎と話したいことあったし、起こして話済ませたらすぐに行くから。」と言うので、菜々は仕方なく先にバスを降りた。
外に立っていた運転手に、中にまだ人がいることを告げ、エアコンを切らないようお願いした後、川の方へ向かった。
――大丈夫かな、神崎先輩…。
降りたバスを振り返り、心配していると「橋本!こっちこっち!」という声が聞こえたので、振り返った。
声のした方を見ると、相良が手招きしている。
菜々は、小走りで相良の方へ向かった。



