すんでのところで星原と神崎に見つからずに済んだようだ。
星原は1階へ下りて行き、神崎は部屋に入ってドアを閉めた音が聞こえた。
菜々と相良は、ふぅーっと安堵の溜息をついた。
「見つからなくてよかったぁ。」
菜々が小さい声でそう言うと、相良も「だな」と同意する。そして、菜々の方を見て話しかけてきた。
「あの2人って、実は前から付き合ってたのかな?」
「んー?神崎先輩の話聞いてる限りでは、彼氏いる感じではなさそうだったけどなぁ。でも言われてみれば、星原先輩は神崎先輩のこと好きだったのかもね。神崎先輩の恋バナ聞きたがってたし。」
「そうなんだ…。あんな濃厚なキスするくらいだから、付き合ってんのかと思った。神崎先輩も嫌がってなかったし。」
――濃厚…。
菜々はまたキスシーンを思い出して顔が赤くなるのを感じたが、相良は特に何も気にしていない様子だ。



