聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



急に星原が神崎の手を取り、抱き寄せた。


そして、そのまま星原は、神崎の唇に自分の唇を重ねた。


「キ…!!」


菜々が思わず小さく声を上げたので、相良がまた慌てて菜々の口を塞いだ。


そのまま2人は壁際に沿ってズルズルとしゃがみ込む。


相良は、菜々の口元に手を当てたまま、壁の向こう側をもう一度確認した。


「すげー。のーこー。」


――の、濃厚…。


ボソッと相良が呟いた、神崎達のキスの感想と、未だ相良に口を塞がれ密着している状況に、菜々は頭がクラクラしてきた。


「おーい、星原ー?どこに行ったんだー?」


下の階から、急に大きな声が聞こえた。


「やべ!こっち。」


相良は小声でそう言うと、菜々の手を引いて、そのままもう一つ上の、屋上に続く階段へ向かった。


菜々はクラクラする頭で何とか相良について、階段の影に隠れた。