神崎と菜々は一緒に部屋へ上がり、荷物を置く。
そして飲み物とタオルを取ると、すぐにグラウンドへ出た。
暑い日差しが照りつける中、さっそく練習が始まった。
部員たちがグラウンドを走る中、神崎と菜々はせっせとお茶の準備を済ませ、練習記録をタブレットに打ち込む。
一通り仕事が終わったところで、菜々と神崎は、木の影から練習の声出しをすることにした。
「頑張れー!」
神崎の声はよく通る。ハキハキしていて、菜々とタイプが真逆だった。
いつもまっすぐで、強かさを放つ神崎に、菜々は憧れていた。
負けじと声を出す。
「ファイトー!」
今日も、菜々の視線の先には相良がいる。
まっすぐ前を見てグラウンドを走り回る姿が、キラキラと眩しい。
どうしてこんなにも、相良のことが気になるのだろうか。
そんな菜々を神崎はじっと見つめていた。



