サッカー部の合宿1日目。


観光用の大きなバスが2台、学校の駐車スペースに停車している。


菜々はそのバスに、神崎や他の部員と一緒に荷物の積み込みをしていた。


このバスに乗り合わせで、合宿施設のある山まで向かう。


「橋本、頑張りすぎ。」


菜々の両手から崩れ落ちそうな程、積みあがった荷物の半分をヒョイと持ち上げたのは――


「相良君!ありがとう。」


菜々がホッとして相良を見上げた。


相良は心配そうな表情だ。


「橋本、また気負い過ぎてない?あんまりスタートから気合入れてると、あっちに着いてからがキツイぞ。ほら、ペース配分って大事だろ?」


「そうだね!ありがとう。気を付けるよ。」


菜々がえへへ、と笑いながら反省すると、相良が安心したような表情で笑って言った。


「ま、張り切るのも分かるけどな!楽しみだな。」