「部活の練習もありますし、合宿もあるので、会いますね。」
「合宿か!チャンスだね。たくさん話してさ、過ごす時間が長くなれば、橋本ちゃんの良さに絶対気づくはずだから、頑張ってみたら?」
そう話す矢嶋は、進行方向を見て、菜々が他の客にぶつからないか確認しながら浮き輪を引いている。
菜々は、チラッと美桜と夏樹の方を見た。
2人とも、さっきまで喧嘩していたとは思えないくらい楽しそうに笑いながら泳いでいる。
ーー私も、相良君と付き合ったら、あんな風に、幸せになれるのかな。
「…そうですね。がんばってみます。」
そう言ってにっこり笑った菜々を、矢嶋は振り返って見ると、笑い返してくれた。



