聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



「そうだよ!じゃないと後悔するかもよ?自分の未来を変えれるのは自分だけなんだからさ。人生一回だけだし、その人と話す機会があるのも、今のうちかもしれない。チャンスは逃さないようにしなくちゃ。」


「チャンス…。」


確かに。
女子の中でも人気のある相良と話せているのも、今に限ったことなのかもしれない。


仲を深めることができている今は、一歩踏み出す絶好のチャンスなのかもしれない。


「その人と、夏休みに会う機会はないの?」


黙って考え込んでいる菜々の顔を覗き込みようにして、矢嶋が尋ねる。
菜々は顔を上げて、矢嶋の問いに答えた。