聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



ぐんぐんスピードを上げた後、一定のスピードになって、水しぶきと共に回転しながら下に降りていく。


時折顔に水を浴びせられながら旋回して、地上へ向かう。
急に明るくなって、出口が見えたかと思った瞬間、スライダーから水と共に吐き出された。


バッシャーン!


水に落ちた後、菜々がすぐに顔をあげると、矢嶋が近くに立っていた。


「大丈夫だった?」


そう言って笑っている矢嶋は、頭からずぶ濡れだ。


短く切られた髪をわしゃわしゃと手でほぐしながら、美桜を見ている。


「大丈夫です!楽しかった!」


菜々が興奮気味で笑いながらそう言うと、矢嶋が一瞬、固まって頬を赤らめたように見えた。
そして菜々の後ろにサッと視線を動かす。


「あ。あぶね。」


そう言うと、博孝は菜々の手を引いてグイッと自分の方に引き寄せた。