「ななちん、矢嶋先輩と2人で大丈夫だった?」
夏樹と矢嶋の後ろを歩きながら美桜が声を潜めて菜々に尋ねる。
「うん、大丈夫。矢嶋先輩も楽しいって言ってくれたし、私も楽しいよ。気にせず堀越先輩とペアで遊んでいいよ。」
菜々がにっこり微笑んでそう言うと、美桜はホッとしたように「ありがと」と言った。そして夏樹と矢嶋の背中を見つめながら言葉を続ける。
「優しいよね、矢嶋先輩。なんか懐が深いというか、安心感?みたいなのあるよね。落ち着いてる雰囲気あるし。」
「そうだね。なんだろ、お兄ちゃん感がすごい。なんか守ってくれるって感じ。安心感もだし、包容力もあるし。お兄ちゃんいないからお兄ちゃん感っていう表現が合ってるか、分かんないけどね。」
あははっと笑う菜々を、美桜は少し微笑みながら、黙って見つめていた。



