ーーすごいな、矢嶋先輩。よくサッカー部って気づいたよね。
グラウンドには何人もの部活動生が場所を譲り合いながら練習をしている。
いくつもの部の中からサッカー部、と言い当てたのは、まさに観察力があるからではないだろうか。
「おーい、橋本ちゃん!そろそろ休憩だから、お茶の準備とかしよー」
一緒にマネージャーをしている、2年の神崎愛加が、建物の向こうからひょっこり顔を出した。
「あ、すみませーん!あと5分で行きます!!」
そう言って、美桜は急いですすぎの工程に移り、ビブスについた泡を綺麗に洗い流した。



