青い空。


空には綿雲。


校庭に響く生徒たちの掛け声。


そんな中、グラウンドをぼうっと眺めながら、橋本菜々はグラウンドに面した手洗い場に立っていた。


手元のバケツの中には、サッカー部のビブスが詰め込まれている。


たっぷり泡立った洗剤の中にいるビブス達は、すっかり綺麗になっているはずなのに、菜々は未だに手を動かしながらサッカー部のメンバーを眺めている。


ーー相良君、かっこいいなあ。


先輩だからと遠慮せずに堂々とボールを奪いに行く相良亮。


汗で所々束になった髪、光る汗。


シャツの袖で、汗を拭う仕草。


細すぎない腕と脚。真剣な表情。


どれも、菜々の目にはキラキラと眩しく映った。