聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



夏樹は美桜を見つめたまま、目を見開いた。


「…今、俺のこと好きって言った?」


夏樹の表情を見た美桜は、すうっと心が冷たくなっていくのを感じた。


――言っちゃった。堀越先輩、まさかって顔。


言いたかったことを言ってスッキリするはずが、心にぽっかり穴が開いた気分だ。


「…先輩にそのつもりがないのに、勝手に好きになってすみませんでした。」


帰ります、と言って美桜は公園の入口に向かって歩き始めた。


その時。


後ろから夏樹が美桜の手を取り、自分の方へ手繰り寄せた。


そのまま、夏樹の腕の中に収まり、抱きしめられる。




「俺も好き。」