聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



「…昨日、堀越先輩が告白されてるのを聞いちゃいました。」


「…まじか。聞いてたんだ。」


夏樹のその言葉に美桜はコクンと頷いた。


「昔から好きだった人がいるって聞こえました。」


美桜がそう言うと、夏樹は「…あー」と言ってそのまま黙ってしまった。


沈黙。


美桜は耐えきれなくなり、思わず立ち上がった。


「…帰ります。」


「待って。まだ話が終わってない。」


立ち上がった美桜の手を掴んできた夏樹が急に鬱陶しく感じて、強引に手を振りほどいた。