夏樹の手が美桜の頬の横で止まった。 困った表情をしている。 「…ごめん。」 そう言うと、夏樹は美桜を見つめたまま、美桜に伸ばしていた手を引いた。 「嫌だったんだな。俺に名前で呼ばれるの。」 美桜がコクンと頷くと、夏樹は「そっか…」と言って俯いた。 夏樹は美桜の方に向けている身体を正面に戻すと、公園の奥の方を見つめながら、美桜に話し掛けた。 「工藤さんが俺のこと嫌がってるなら…今まで、ホントに悪かったな。昨日、待ち合わせのところに来なかったのも、俺と二人になるのが嫌だったからなの?」