聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



ほどなくして、夏樹が公園に入ってきた。


走っている夏樹の姿を見て、美桜は昨日のレースを思い出した。


Tシャツにジャージの短パンを履いたラフな姿でも、格好いいと思ってしまう自分が憎い。


はぁはぁと息を切らして、夏樹は美桜の目の前まで来た。


「っ……わりっ……遅くなった」


夏樹の言葉に、美桜は頭を振った。


夏樹はそんな美桜をちらっと見た後、全身で息をしながら美桜の隣に腰掛けた。


「駅から走ってきたんですか?」


夏樹にしては珍しく、息切れしているので、美桜がそう尋ねると、夏樹は「いや」と言った。


「駅……じゃなくてっ…自分の家から。」


「え!?遠っ!」