『家の前で話せないから、悪いけど公園まで来てくれない?』
続けて、公園の位置情報が送られてきた。
『わかりました』
美桜はそう返信をして、スニーカーを履き、こっそり家を出た。
夏樹が位置情報を送ってきた公園は、昔、美桜と夏樹がよく遊んだ公園だった。
美桜の家の近くなので、徒歩数分で到着した。
夏樹はまだ来ていない。
美桜はベンチに座り、ぼうっとしながら夏樹を待った。
空を見上げると、青空に所々うっすらと白い雲がかかっている。
公園の木の先端は、太陽の光を受けて輝いている。
――堀越先輩と何話せばいいんだろ。
清々しい朝とは反対に、美桜の心はモヤモヤしていて、まるで霧がかかったみたいだ。



