聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



「も、もしもし…」


『おはよ』


「おはようございます」


自分の声が震えているのがわかった。


『返信なかったから心配した。何かあった?』


――何かあった?って…


夏樹の言葉を聞いて、美桜は思わず涙を溢した。


――何かあったも何も、先輩のおかげで失恋しました。


そんなこと、言えるわけもなく。


でも夏樹の声が優しくて。


涙が溢れて、声が出ない。