ーー堀越先輩の昔から好きだった子ってどんな人なんだろう。
可愛い人?
頭がいい人?
気が利く人?
素直な人?
どれも自分には当てはまらない。
よく考えてみたら、夏樹が自分を好きになる要素がどこにも見当たらなかった。
――憎まれを口叩く、ただの話しやすい後輩。きっとそんな感じなんだろうな。
マックで言っていた「俺は良いなと思ってるんだけどな」というあの言葉。
あれもきっと、気兼ねなく話せる美桜を、からかうために口にしたもので、本心ではなかったのだ。
そう考えると、例え本当に美桜のことを良いなと思っていたとしても、彼女にしたいというのとは、また別の話だ。
――大丈夫。明日からまた、普通の学校生活に戻るだけ。堀越先輩と関わりが無くなるだけで、他は何も変わらないんだから。
泣き疲れた美桜は、そのまま目を瞑り、早めの眠りについた。



