聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



――昔からずっと…?


夏樹とは昔からの見知った関係ではあるものの、小学生の頃から好きでいてくれたとは到底思えなかった。
その頃の美桜の「大好き」という言葉に、夏樹が応えてくれたことはなかったのだから。
となると…


――先輩の好きな人は、私じゃないんだ。


告白したいという気持ちが、シュルシュルと小さくなっていくのがわかった。


気付いたら涙が溢れていた。止まらない。


――帰ろ。


美桜はその場で菜々に『ごめん、先に帰るね』とメッセージを送った。