聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



「何、井上。この子らと知り合い?」


「妹のクラスメイトなんだー。妹が俺に会いに来るのについて来たんだって〜」


えへへ、と笑いながらそう言う芽唯兄に、ふーんとメッシュ男は言うと美桜に気付いて「よ、レースちゃん。」と言った。


………な!レースちゃん!?ピンクのレースパンツ履いてたから「レースちゃん」ってこと!?


「あ、やっぱり知り合いだったんだ。よかったね、工藤ちゃん」


芽唯兄がまたも朗らかに笑いながら言った。


「え、レースちゃん??てか美桜、堀越先輩と知り合い?」


驚いた表情の里帆が美桜を見る。


「…くどう…みお?」


夏樹は驚いた表情で美桜を見つめて言った。


「もしかしてお前、昔近所に住んでた――」


「ひ、人違いですーーー!!」


美桜は最後まで夏樹の言葉を聞かずに、ぴゅーーーっと教室まで逃げ帰った。