最後の周に入り、走者が最後の力を振り絞って走り出した。夏樹も、抜かれまじと懸命に走り続けている。


夏樹の後ろに、2位の走者が追いついてきた。


ゴールラインは目前。


「堀越先輩、頑張れー!」


美桜が思わずそう叫んだ後、体1つ分の差で夏樹が先にゴールした。


「やった!!」


美桜は小さくガッツポーズする。


夏樹が体全体で呼吸を整えているのが見えた。


そして肩で息をしながら、美桜の方を向いて手を挙げる。
美桜も、それに応えるように、拍手する手を夏樹に見せた。


――堀越先輩に伝えよう。今の堀越先輩の事も好きですって。