聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!


「全然!むしろ先輩、色々話してくれてさ。すっごい楽しかったよ。先輩、話が上手でホント面白いの。」


菜々が嬉しそうにそう言ったので、美桜は探りを入れるために冗談っぽく言った。


「もしやななちん、矢嶋先輩のこと好きになったりしたんじゃ?」


そんな美桜の言葉に、菜々は「え!?」と言って驚く。


「んー、いい先輩だけど、好きって感じではないなあ。」


良い人だとは思うけどね、と菜々がフォローするように言った。


ーーまだ時間がかかるかもなあ。


美桜は心の中でそう呟いた。