――インターハイ終わったら、受験シーズンか。堀越先輩、どこの大学行くんだろ。
卒業。
その2文字が、美桜の頭に浮かんだ。
――堀越先輩も、来年には卒業していなくなっちゃうんだよね。
ふと寂しさがこみあげてくる。
――これが、好きって気持ちなのかなあ。
憧れていただけの頃とは違う感情が生まれていることは確かだ。
でも。
――好きになれば、先輩が卒業する時の別れも辛くなる。それなら、やっぱり憧れてるだけの方がいいのかな…。
――先輩の気持ちを聞いてみたい。私の事、どう思ってるのか。
――でも怖い。『なに勘違いしてるの?』って言われるかもしれない。他の女子にも、同じように接してるかもしれないんだから。
――私だけ特別扱いされてるわけない。そもそも、私の事、好きになってもらえる要素がない。
気付いたら、溢れた涙が枕を濡らしていた。
美桜はその晩、ひとしきり泣き疲れてから、ようやく眠りについた。



