聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



里帆はそんな芽唯の言葉を聞いて、うーんと唸ると腕組みした。


「でももし、堀越先輩に気持ち伝えないまま、堀越先輩に彼女できちゃったら、それこそ傷つくんじゃない?」


だって、来るもの拒まず、なんでしょ?と里帆が言う。


ーー堀越先輩に彼女…。


「…美桜ちゃんは、堀越先輩に彼女できても平気なの?」


菜々が美桜の顔を覗き込みながら尋ねた。


「私は…」


美桜がそう言って考え込むのを、3人は黙って見つめる。


「…嫌、かも。」


「…じゃあ、何も伝えないより、伝えた方がいいよ。」


「だね。じゃないと一生、後悔するよ。」


美桜の言葉を聞き、里帆と菜々がそう言った。


芽唯も「…そうだね。後悔しないようにしないと。」と柔らかく微笑んだ。


「…ありがと、みんな。」


ようやく、美桜の気持ちは固まりつつあった。