聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



「…そう、なのかな?」


美桜は言うと、俯いたまま「…堀越先輩の言葉、都合の良いように解釈してもいいのかな。」と呟いて言葉を続けた。


「…だって怖いんだもん。ずっと憧れてばっかりだったから、私からの一方通行な気持ちで、勝手に好きでいればそれでよかったけど。いざ、本当に好きになるって言ったら…憧れじゃなくて、相手にも同じ気持ちを求めるようになっちゃったら…嫌われるんじゃないかとか、勘違いなんじゃないかとか、そんなこと考えちゃう。それならこのまま、憧れたままでいいって思っちゃう。傷つきたくないし。」


美桜が正直な気持ちを吐露している間、3人は黙って美桜の話に耳を傾けていた。


すると芽唯は「そっか…。傷つきたくないって思うの、私も気持ちわかるなあ。」と呟いた。