聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



「なんだー、俺に会いに来てくれたんじゃないのかよー」


芽唯の言葉に、ガックリと項垂れた芽唯兄。


そんな兄の様子を気にも止めることなく(恐らく日常的にこんなやり取りをしているのだろう)、芽唯は兄に「ねぇねぇ、早く教えてよ〜」と言って急かしている。


芽唯に急かされた芽唯兄は、教室を見回すと『堀越先輩』を見つけて指差した。


「あ、ほら、窓際にいるアイツだよ。茶髪に、メッシュしてる奴。」


その言葉を聞いて、美桜はピタリと動きを止めた。


――え、メッシュしてる奴?……ま、まさか。


恐る恐る窓際を見てみると、先日美桜にパンツの感想を述べた男が他のクラスメイトと話しながら笑っていた。


「おぉ〜!かっこよーー!」


小さく歓喜の声を上げる芽唯と里帆を余所に、美桜と菜々は固まっていた。


「み、美桜ちゃん…」


まさかの展開に、菜々は恐る恐る美桜に顔を向けた。


美桜はまだ固まっている。