家族と食卓にいるが、誰も笑わないまま、もそもそ噛んでいる。
「おえ!」
父親がポテトサラダを詰まらせたらしく、皿に吐き戻した。
母親と一緒になって、顔面が引きつっていると、父親が「じゃがいもがシャリシャリするじゃないか!」と怒りをぶつけてきた。
そうか、嗚咽すら演技だったのかと嫌になって、私の視界は暗い霧に包まれてきた。
部屋の電気はついているか、と食事中に何度も尋ねた。
私は立ち上がって電気のリモコンを操作するが、家族から「なんで部屋の電気消すの。」と苛立たれるだけだった。
諦めて食卓に座る。
視界がどんどん暗くなるうちに、私の体は言うことを聞かなくなって、急に後ろに仰け反り、低い声で唸った。
身動きが取れないまま、酷い孤独感を味わった。自分がよく知っている大切な人の手が欲しかった。