溢れる涙に耐えながら、鼻声でそれだけ言うと、少女は踵を返して走っていった。
 小さな背中を見送りながら、サントリナは重々しいため息を吐く。

「彼女はすごいな。ボクができないでいることができるのだから」

 このままだと、おそらくニゲラから婚約破棄されるのも時間の問題だ。
 その前に、告白の一つでもしてみようか。
 そんな勇気なんてないくせに、とサントリナは顔を覆い、ずるずるとその場へ座り込んだ。