父譲りの清涼感のある好青年めいた顔。母譲りの金の髪にコバルトブルーの目。
 スッと伸びた背は美しく、磨き抜かれた細身の剣を思い起こさせる。
 毎朝鏡を見るたびに「美男子だな」と思うが、自画自賛しているわけではない。自己嫌悪である。

 サントリナはどこをどう見ても美男子だが、性別は女だ。
 脱がないとわからないレベルだ、というには語弊があるが、言い過ぎとも言いきれないから困る。

 彼女は、冬の国に仕える騎士の家に生まれ、良く言えば大らか、悪く言えばガサツな両親の教育方針に則り、三人いる兄たちと同じに、分け隔てなく育てられた。
 これでも七歳までは、“はじめての女孫”として、祖母には蝶よ花よと扱われていたのだが、亡くなってからは、誰も女の子扱いしなくなった。

 なぜなら。
 サントリナは、強かった。七歳にして、兄たちと互角に戦えるほどに。
 体格差もなんのその、細く身軽な体を使い、彼女は舞を踊るかのように剣を振るう。

 その美しさは、妖精をも惚れさせた。
 彼女と契約したのは、剣の妖精だ。波間に漂うくらげの姿をした妖精は、彼女の剣技に惚れて契約した。