(まさか、そんな偉い人だったとは。しょっちゅう来るから、暇なんだと思ってたわ)

 ペリウィンクルがヴィアベルを見直していると、その傍でローズマリーが楽しげに笑い声を漏らす。
 何がおかしかったのかと見たペリウィンクルに、彼女は「それにしても……」と言った。

「ペリ、やるじゃない。妖精王の茶会の手伝いができるなら、今後やりやすくなるわ」

「え……今後?」

「そうよ。セリ様とシナモン様が無事にくっついた今、わたくしが婚約破棄されるのは、ソレルルートだけ。逆ハーレムルートの可能性は、潰えた。つまり、これからはリコリス様が他のルートへいかないよう、しらみつぶしに悪役令嬢たちの恋を応援しなくてはならなくなったということよ」

「……え」

 信じられないことを言われて、ペリウィンクルは固まった。
 そんな彼女に、ローズマリーは桜貝のような小さな唇を歪めて人の悪そうな顔で笑う。