軽やかな足取りで走り寄って行ったセリを、シナモンが慣れた手つきで抱きとめる。
 愛らしいだけだった顔に、今までにはなかった男らしさがほんのり滲んでいるように見えたのは、きっと気のせいではないだろう。

(うまくいったみたいで、良かった)

 ホッと息つくペリウィンクルの隣で、ローズマリーは困惑の表情を浮かべてセリとシナモンを見つめている。
 彼女の戸惑いはもっともなことだ。数日前までローズマリーやペリウィンクルの背に隠れて逃げ回っていたセリが、何の躊躇いもなくシナモンの腕の中に飛び込んでいったのだから。

(妖精魔法、すごすぎ)

 ペリウィンクルも少なからず、ローズマリーとは別の意味で戸惑っていた。

(ヴィアベルはどんな魔法を使ったんだか)