店のカウンターにいた妖精に声をかけると、目当てのものをあっという間に用意してくれた。
 針金とペンチとニッパー。これさえあれば、ワイヤークラフトができる。
 持つべきものは前世の記憶だと、ペリウィンクルは満足げに店を後にした。

 帰宅したペリウィンクルは、買ってきた材料をテーブルに広げ、黙々と作業を始めた。
 だが、単純な作業というのはついつい考え事をしてしまうものだ。
 彼女の頭の中は次第に、ローズマリーが押し付けてきた難題でいっぱいになっていく。

「ぐむむむむ……妙案……思いつかない……というか、妙案ってなんなのさ⁉︎」

 針金をニッパーでパチンと切りながら、ペリウィンクルは唸るように呟く。
 完成したばかりのブランコ型ベンチに腰掛けていた妖精姿のヴィアベルは、そんな彼女にドヤ顔で答えた。

「妙案とは、たいそう良い思いつき、という意味だろう」

「わかってるよ、もう!」

 苛立たしげなペリウィンクルの周りを、ヴィアベルは「おやおや」と言いながらちっとも困っていない素振りで飛び回った。