「わたくしは、ローズマリー。あなたは、セリ様でしょう?」

「は、い……」

 セリの緊張を解そうとしているのか、ローズマリーと名乗った少女は穏やかに微笑んだ。

「あの……何があったのか聞いても良いかしら?」

 いつもだったら、やんわりと遠回しにお断りするところだ。
 だけど、その時のセリはいつもの彼女ではなかった。

 誰でも良いから、そばにいてほしい。苦しい胸の内を、聞いてもらいたい。
 そんな思いから、セリは縋るようにローズマリーを見た。