嫌な予感しかしないと、ペリウィンクルは眉をひそめた。
 とはいえ、今のセリはシナモンルートの悪役令嬢ではなく、お嬢様が連れてきた大事なお客様である。
 ペリウィンクルは二人を窓際のテーブルへ案内すると、急いでお茶の準備の続きに取り掛かった。

「しかし、助けてとは……」

 公爵令嬢であるローズマリーが、息急き切って帰宅するくらいである。よほどのことなのだろう。

「このタイミングからいって、セリ様とシナモン様のことなんだろうなぁ……」

 ペリウィンクルは呆れたようにハァとため息を吐いた。
 聞いたばかりの噂話が脳裏をよぎる。
 リコリスが嘘をついて、シナモンに犯人探しをさせているというものだ。

「そんなイベント、ゲームにはなかった。ゲームでは語られなかった裏設定……とか? だとしたら、今後はこういうことが増える……んだろうなぁ」