ノックもなしに勢いよく部屋の扉がバァン! と開かれる。
 慌てて簡易キッチンから顔を覗かせると、ペリウィンクルを見つけたローズマリーは叫んだ。

「おねがいよ、ペリ。彼女を助けてあげて!」

 そう言って、一人の少女を伴って帰宅したローズマリーに、ペリウィンクルは目を見開いた。
 彼女が助けてあげてと連れてきた少女が、つい先ほどヴィアベルから聞いたばかりのセリだったからだ。

(うわー……お嬢様、わかっていて連れてきた?)

 黒髪に黒い目、そして着物をリメイクしたようなエキゾチックな衣装。
 一目でわかる。日本人がモデルだと思われるこの少女は、セリだ。

 責めるように見つめるペリウィンクルに、ローズマリーは一瞬怯むようにキュッと小さな唇を噛み締めた。
 しかし、思いとどまるように大きな目で力強く見返してくる。

(うーん……これは、わかっていて連れてきたんだろうなぁ)