「さて。ヒロインは無事に見つけましたし、そろそろ行きましょうか、お嬢様」

「ええ」

 歩き出したローズマリーの後ろにつき、ペリウィンクルも歩き出す。
 二人分のトランクは地味に重い。
 これはなるべく早く寮に着かなければと思いながら、ペリウィンクルはトランクを抱え直した。

 まさかそんな二人の後ろで、ヒロインがシナモンに、

「わたし、誰かに足を引っ掛けられて転んじゃったんです!」

 と涙目で訴えかけていたとは、知る由もなかった。