「いやぁっ! わたしは悪くない、悪くないんだってば! ソレル様、助けて。優しいあなたなら、わたしを助けてくれますよね⁈」

 助けてと叫びながら、リコリスがソレルへ手を伸ばす。
 その体はすでに無数の妖精が取り囲んでいて、今にも飲み込まれそうだ。

 そんなリコリスに、ソレルは冷たい視線を向けるだけ。
 手を叩き落とさないだけマシだと思え、と言わんばかりである。

「愚かな女だ。スヴェートが必死になって彼女の関与を黙したというのに……これでは水の泡ではないか」

 ヴィアベルの言葉に、ペリウィンクルは理解した。
 一連の事件にリコリスが関与していたのは間違いないのに、どうして彼女は野放しになっているのか。
 それは、スヴェートが全ての罪を一人で被ったからに他ならない。

(そこまでする何かが、ヒロインにあったのかしら……?)