幼い頃、悪夢にうなされた時はいつだって隣にいてくれた。
 泣きながら、時に叫びながら飛び起きたペリウィンクルを、彼は優しく抱きしめてくれたのだ。
 気持ちを落ち着けて、ホッと息を吐いた時。窓からこぼれ落ちる月明かりに照らされた、彼の顔の綺麗さと言ったら!

 何度も何度も、ペリウィンクルは恋をした。
 小さな恋を、ひとつひとつ重ねていった。
 たくさんの花びらが舞い落ち、大地を彩り豊かに染め上げるように。

 もう、開き直るくらいしか、ペリウィンクルにはできない。
 だって、聞かれてしまったし。撤回する気もないし。

 こんな時、恋に慣れた大人ならすんなり声に出せるのだろう。
 だけど、ペリウィンクルはそんな風にできない。
 ぎこちなく、ごまかし笑いを浮かべながら彼女は言った。

「どう思う? ヴィアベル」