肥料はログインボーナス、栄養剤は課金アイテムだった。
 どちらも、箱庭で使用することによって世話を忘れた花が元気になったり、花の生育を早めたりすることができる。
 栄養剤は肥料の上位互換、といった感じだ。

 だが、卒業間近に出される誕生花の育成だけはどうやっても課金できないようになっていて、早く育ててエンディングに漕ぎ着けたいという乙女たちを悩ませた。
 もっとも、前世のペリウィンクルは箱庭パートの方に夢中だったから、悩むこともなかったのだが。

「しかし、誰からも望まれない、忌まわしい存在ですか……」

 まるで、昔の自分のようだ。
 脳裏に鮮やかなステンドグラスが思い起こされて、ペリウィンクルの胸が痛む。

「どんなモンスターなんでしょうね。逆に気になります」

「モンスターとは限らないのでは? 怨霊とか、そういう存在かもしれませんわ」