「ディル様は……トゥルシー様が元に戻ったらどうするおつもりなのですか?」

「観察するだけ」

「それだけなのですか?」

 ペリウィンクルは、ローズマリーが以前ディルへ問いかけた時のように、彼を見た。
 キャンドルの灯りで変幻する不思議な色をした目に見つめられ、ディルは居心地悪そうに身動ぎする。

「さすが、ローズマリー嬢の専属庭師。彼女によく似ている」

「お褒めいただき、光栄ですわ」

 ペリウィンクルはメイド服をちょんと持ち上げ、貴族令嬢の真似をするように挨拶をした。
 そんな彼女へ「褒めていない」と文句を言いながら、ディルは観念したように言う。

「お察しの通りだよ。僕は彼女の恋人に立候補するつもりだ」

 不満そうに顔を歪ませているが、トゥルシーへの恋情は隠しもしない。
 きっとその耳は、彼女の足音が近づいてくるのを今か今かと待っているのだろう。

 ゲームでは見られなかった彼の素晴らしい一面を見られて、ペリウィンクルは心の中で拳を突き上げて喜んだ。