「どうした?」

 こつん、と額が当たる。
 どうやらヴィアベルは、ペリウィンクルに熱がないか知りたかったらしい。
 あり得ないことを考えた、とペリウィンクルは恥ずかしくなった。

「う……ううん、何でもない。頑張ってブレンドするから、期待していて」

 言いたいことを心の奥へ厳重にしまい込み、ペリウィンクルは鍵をかけた。
 だって、言えるわけがない。

(唇も甘いのかな、なんて。何てこと考えているのよ、私! ばか、スケベ、破廉恥、私の痴女!)

 親か兄のように思っているはずの相手に対して、唇の味を確かめてみたいと思うだなんて。
 未経験で興味があるとはいえ、見境がなさすぎる。
 女としてこれはありなのか、とペリウィンクルは不安さえ覚えた。